ファルマシア
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新規抗凝固薬はワルファリンの代替となり得るか?
河内 正二
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2014 年 50 巻 9 号 p. 916

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抄録

新規抗凝固薬であるダビガトランは,血液凝固カスケード中のトロンビン活性を直接的かつ選択的に阻害することで抗凝固作用・抗血栓作用を発揮する.非弁膜症性心房細動を対象とした第Ⅲ相国際共同試験(randomized evaluation of long-term anticoagulant therapy:RE-LY試験)では,脳卒中および全身塞栓症の発症率について,ダビガトランとワルファリンとの非劣性が示された.またダビガトランは,重大な副作用である大出血,特に頭蓋内出血の頻度がワルファリンと比較して少なく,非弁膜症性心房細動に対する臨床的有用性が証明されている.この結果を受けて,世界各国で心房細動治療に関するガイドラインの改定が行われた.わが国では,「心房細動における抗血栓療法に関する緊急ステートメント」(日本循環器学会,2011年発表)において,非弁膜症性心房細動へのダビガトランの使用が推奨された.しかし,RE-LY試験の対象外であった僧帽弁狭窄および機械弁患者に対しては,ダビガトランの有用性は示されておらず,ワルファリンの使用のみが推奨されている.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Connolly S. J. et al., N. Engl. J. Med., 361, 1139-1151 (2009).
2) Eikelboom J. W. et al., N. Engl. J. Med., 369, 1206-1214 (2013).
3) Ruff C. T. et al., Lancet, 383, 955-962 (2014).

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© 2014 The Pharmaceutical Society of Japan
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