2015 年 51 巻 1 号 p. 52_1
転移因子(トランスポゾン)はそれ自身のコピーを宿主ゲノムの他の領域に挿入する転移能を有するDNA因子である.転移因子はレトロトランスポゾン/レトロポゾンとDNAトランスポゾンに大きく分類され,前者はRNA中間体を逆転写酵素によりDNAに変換し,それがゲノムに挿入されるcopy-and-paste機構で転移する.後者はそれ自身がゲノムDNAから切り出され,それがゲノムの新しい部位に挿入されるcut-and-paste機構で転移する.ヒトゲノムに存在する転移因子の総数は300万コピー以上であるが,その大半がレトロトランスポゾン/レトロポゾンである.