ファルマシア
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光スイッチ能を有する有機触媒
高石 和人
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2015 年 51 巻 1 号 p. 58

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抄録

この十数年の間に有機触媒の開発研究は劇的な発展を遂げ,数多くの新反応が報告された.近年では,ワンポットで多段階反応を行うことを目指し,外部刺激によって触媒活性を変化させる試みがなされ始めている.代表的な外部刺激の1つとして,紫外/可視光照射が挙げられる.光照射は,簡便かつ非侵襲的であるという利点がある.分子スイッチや分子マシンの研究分野では,光駆動部位としてアゾベンゼンがよく利用される.アゾベンゼンは任意に(E)-体⇔(Z)-体の光異性化が可能であり,また安定な(E)-体への熱異性化が可能なためである.しかしアゾベンゼン骨格を利用して触媒能の光スイッチングを行った研究例は,Cacciapagliaらや今堀らによる立体障害や協同触媒機能に着目した報告などに限定される.Pericàsらはチオウレア型触媒にアゾベンゼン骨格を組み込み,光照射により分子内水素結合を操るというこれまでにない概念で,触媒活性を大きく変化させることに成功したので,本稿で紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Cacciapaglia R. et al., J. Am. Chem. Soc., 125, 2224-2227 (2003).
2) Imahori T. et al., Chem. Eur. J., 18, 10802-10807 (2012).
3) Osorio-Planes L. et al., Org. Lett., 16, 1704-1707 (2014).

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© 2015 The Pharmaceutical Society of Japan
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