ファルマシア
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挑戦者からのメッセージ
がん患者さんの痛みからの解放を目指して
鈴木 勉
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2015 年 51 巻 10 号 p. 931-933

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抄録

1986年に世界保健機関(WHO)方式がん疼痛治療法(Cancer Pain Relief)が発表され,医療用麻薬をがん疼痛治療に積極的に使用する方法が世界に普及した.その結果,多くのがん患者ががんの痛みから解放される時代になってきた.我が国においても,3年遅れて1989年に徐放性モルヒネ製剤が発売されてから,ようやく本法が導入された.しかし,我が国の国民はアヘン戦争や覚せい剤乱用などの歴史から麻薬恐怖症(opioid phobia)が根強く植え付けられており,さらに武士道などから痛みに耐える文化も強く根付いているからか,がん患者やその家族が医療用麻薬に対する誤解や偏見を持ち,がんの痛みを取る治療法があるにも関わらず,医療用麻薬による積極的ながん疼痛治療が十分には行われていないのが現状である.我々は,これらの障壁となっている医療用麻薬に対する誤解を解くための根拠を基礎研究で明らかにしたので,以下に紹介する.

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© 2015 The Pharmaceutical Society of Japan
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