ファルマシア
Online ISSN : 2189-7026
Print ISSN : 0014-8601
ISSN-L : 0014-8601
在宅医療推進における薬剤師のかかわり
第3回 小児在宅医療における地域薬局の役割
川名 三知代
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 51 巻 12 号 p. 1164-1166

詳細
抄録

当薬局は,窓口では日常的に近隣の医療機関からの処方せんを応需しつつ,無菌調剤室を備える在宅調剤サポートセンターとして地域在宅医療連携に参加している. 1つ1つの依頼に丁寧に応えることで,これまでに数百名の在宅患者とのご縁をいただいた.そのほとんどが高齢者の自宅への訪問だが,この中に10名の小児科の患者(以下,患児)も含まれる.この患児らは,高度な医療的ケア(気管切開,人工呼吸,経管栄養など)を必要とし,小児期発症疾患(重度脳性麻痺,難治性てんかん,染色体異常など)を有する乳幼児~成人期の患者である. 私たちの薬局は,国立成育医療研究センター病院から少し離れた商店街の中にあるが,最先端の高度医療を受けるためにこの地域に転居してきた家族も少なくない.窓口に来局した患児の母親からの「薬を届けてもらえないでしょうか」という要望に応える形で,当薬局では高齢者よりも先に小児科患児宅への訪問が始まっている.一昔前に地域のかかりつけ薬局が「患者様のために」と利益を度外視して始めたこの取組は,運営会社の統合・再編・社名変更を経てもなお,熱意と善意あふれる薬剤師たちに引き継がれ,やがては主治医より訪問指示を受けた上での在宅患者訪問薬剤管理指導へと発展していった. 医師の訪問診療を受けていない小児に対し,要件さえ満たせば在宅患者訪問薬剤管理指導が実施できることはあまり知られていない(図1).また,高度医療機関と地域の薬局が在宅療養患者のために連携できる仕組みが整っていない.そのため,小児の在宅医療に対応可能な薬局は少なく,私たちは存在に気付いてもらうのを待つしかなかった. 今回は小児在宅医療における私たちの取組を紹介すると同時に,その中で地域の薬局が担うべき役割を提案したい.

著者関連情報
© 2015 The Pharmaceutical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top