ファルマシア
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続・数式なしの統計のお話
第4回 ギネスビールと統計家
ペンネーム スチューデント
酒井 弘憲
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2015 年 51 巻 12 号 p. 1168-1169

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抄録

早くも師走である.昨年の連載では,仲良しの某旧帝大教授の忘年会での散財の話を書いたが,今年もその季節がやってきた.基本的にビールが苦手な筆者であるが,気候のせいか,雰囲気のせいか,海外に行くと比較的ビールを飲むようになる.特に英国では,最初の一杯はまずギネスというのが定番である.ギネスと言えばビールだけでなく世界記録を思い浮かべる人も多いだろう.筆者も中学生のときにバンクーバーに住む伯母からGuinness World Recordsを送ってもらい,分からない単語だらけなので辞書を引き引き,それでもワクワクしながら読んだことを思い出す.1955年に初めて出版されたWorld Recordsであるが,現在では出版事業はギネス社の手を離れ,HIT Entertainment社に引き継がれている.
さて,そのギネス醸造所であるが,Wikipediaによると歴史は古く,1756年にアイルランドのダブリンで創業され,1759年にその頃使われなくなっていたセント・ジェームズ・ゲート醸造所を年45ポンドの対価で9,000年間借り受けるという超長期の賃貸契約を結び,それ以来この醸造所で変わらずに黒スタウトビールを造り続けているということらしい.スタウトビールとは,いわゆる上面発酵の黒ビールであるが,日本の黒ビールの多くはラガーと同じ下面発酵である.この黒ビールは見かけによらず,低カロリーで,1パイント(日本の大ジョッキと中ジョッキの間くらいの量)で僅か200kcal程度なのである.
実は,このギネス社,統計家にとっては格別な会社なのである.

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© 2015 The Pharmaceutical Society of Japan
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