ファルマシア
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きのこで認知症の改善?:ラノスタノイドのAChE阻害作用
西山 由美
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2015 年 51 巻 12 号 p. 1180

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抄録

日本は高齢化社会を迎え,認知症患者数の増加は深刻な問題である.しかし認知症の根本的な治療方法は確立されておらず,その発症機構の解明や治療法の開発が急務となっている.認知症の中で多くを占めるアルツハイマー型では,脳内のアセチルコリン(ACh)量の低下が認められていることから,AChの分解を抑制するアセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害薬が対症療法の1つとして用いられている.しかし長期服用により,副作用である消化器障害の発生や経済的負担の増大などの問題が生じることもあり,このことから,食物やハーブなどを対象にAChE阻害作用を有する天然物の探索が多く行われている.本稿では,マンネンタケ科ハッドウィア属のきのこHaddowia longipesに含まれるラノスタノイドの構造とAChE阻害活性に関するZhangらの研究を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである. 1) Zhang S. et al., Phytochemistry, 110, 133-139 (2015). 2) Wu Z. et al., Guizhou Sci., 31, 1-17 (2013). 3) Rios J. et al., J. Nat. Prod., 75, 2016-2044 (2012). 4) Liaw C. et al., J. Nat. Prod., 76, 489-494 (2013). 5) Hu L. et al., J. Asian Nat. Prod. Res., 4, 357-362 (2013).

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© 2015 The Pharmaceutical Society of Japan
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