ファルマシア
Online ISSN : 2189-7026
Print ISSN : 0014-8601
ISSN-L : 0014-8601
研究室から
薬学部におけるレギュラトリーサイエンス研究と人材育成
頭金 正博
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 51 巻 7 号 p. 663-665

詳細
抄録

レギュラトリーサイエンスは,国立衛生試験所(現在の国立医薬品食品衛生研究所,略称 国立衛研)の副所長(当時)であった内山充先生が,1987年に初めて提唱した科学的概念である.2011年に発表された第4次科学技術基本計画によると,レギュラトリーサイエンスとは,「科学技術の成果を人と社会に役立てることを目的に,根拠に基づく的確な予測,評価,判断を行い,科学技術の成果を人と社会との調和の上で最も望ましい姿に調整するための科学」であるとされている.例えば,全ての医薬品は副作用を発症するリスクを持っているが,医薬品を人と社会に役立てるためには,品質,有効性,安全性について科学的根拠を用いて,客観的でかつ的確な予測,評価,判断を行うことが必要になる.このようなベネフィットとのバランスを勘案しつつリスクを低減する一連の概念,あるいは科学的考え方をレギュラトリーサイエンスと呼んでいる.
筆者は,長年にわたって厚生労働省傘下の研究機関でレギュラトリーサイエンスに関連する調査研究業務を行ってきたが,2011年度より名古屋市立大学大学院薬学研究科において,レギュラトリーサイエンスに関する研究と教育を行う機会を得た.そこで本稿では,本研究室でこれまでに取り組んできたレギュラトリーサイエンス研究や人材育成と今後の展望について紹介したい.

著者関連情報
© 2015 The Pharmaceutical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top