ファルマシア
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病院におけるレギュラトリーサイエンス教育を受けた人材のニーズ
中村 敏明
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2015 年 51 巻 7 号 p. 679-681

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抄録

レギュラトリーサイエンス(regulatory science:RS)は,医薬品適正使用において,欠くことのできない科学である.これまでは,特に1つのまとまった科学として認識することなく無意識のうちに実践してきた人も多いのではないだろうか.しかし今後は,薬物療法のリスク最小化においてRSは大変重要であり,病院薬剤師が目的意識を持ってRSに取り組むことで,薬物療法の質の向上に寄与していかなければならない.そのためには,薬学教育や薬剤師の生涯学習においてRS教育を積極的に取り入れるべきと考える.
本稿では,RSを簡潔に“医薬品を人と社会に調和させるための科学”と定義する.そもそも薬物療法にはリスクが伴っている.ある医薬品が,治療対象となる全ての症例に対して100%の有効性と100%の安全性を発揮するというのは理想であるが,実現には至っていない.仮に,そのような医薬品(理想的な薬)が実在するなら,医療そのものが大きく変わることになる.残念ながら,多かれ少なかれ効果はバラつき,リスクもゼロにできないのが医薬品であり,それをうまく患者に適用して,望ましい結果(成果)を挙げるのが薬剤師に求められる最も重要な役割である.実務的には,RSを“薬物療法を適正に行うための根拠を持ったルール作り”と捉えることもできる.

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© 2015 The Pharmaceutical Society of Japan
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