2016 年 52 巻 10 号 p. 974
2型糖尿病は心血管疾患の主要な危険因子であり,心血管疾患の併発が患者の死亡リスクを上昇させることが明らかになっている.2型糖尿病患者において,厳格な血糖管理を行った場合でも,心血管疾患の発症や死亡を十分に抑制できないため,糖尿病薬による心血管疾患の発症の抑制が注目されている.現在まで多数の臨床試験が実施されているが,心血管疾患の発症や全死亡のリスクを有意に低下させるエビデンスを有する糖尿病薬はビグアナイド系のメトホルミンのみである.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) White W. B. et al., N. Engl. J. Med., 369, 1327-1335 (2013).
2) Green J. B. et al., N. Engl. J. Med., 373, 232-242 (2015).
3) Roumie C. L. et al., Ann. Intern. Med., 157, 601-610 (2012).
4) Zinman B. et al., N. Engl. J. Med., 373, 2117-2128 (2015).