ファルマシア
Online ISSN : 2189-7026
Print ISSN : 0014-8601
ISSN-L : 0014-8601
トピックス
血管透過性が骨髄血管周囲の幹細胞の運命を決定づける
宮崎 拓郎
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 52 巻 12 号 p. 1158

詳細
抄録

血管内皮細胞は,血管内腔において単層を形成し,血漿成分が血管壁側に漏出するのを防ぐ隔壁として機能している.同細胞により構築される全身の血管網はヒトの場合総延長10万キロにもおよび,全身の恒常性維持,代謝,酸素運搬等を司ると同時に,血球等の細胞を全身に運搬する経路としても重要である.また血管内皮細胞は,多様な臓器において幹・前駆細胞と相互作用し,臓器の恒常性維持ならびに再生も制御する.骨髄も例外ではなく,骨髄内皮細胞(bone marrow endothelial cells:BMECs)の周囲には造血幹・前駆細胞(hematopoietic stem and progenitor cells:HSPCs)および間葉系前駆細胞が集積する傍血管微小環境が構築され,BMECsは自身が分泌するメディエーターを介してHSPCsを調節する.興味深いことに,骨髄内にはいくつかの種類の血管が共存することが知られているが,それぞれの固有の役割は明らかになっていない.最近,ItkinらはBMECsが担うHSPCsの維持および細胞輸送の2つの機能が,異なる2つの血管サブタイプにより制御されることを明らかとしたので,本稿で紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Kusumbe A.P. et al., Nature, 507, 323-328 (2014).
2) Itkin T. et al., Nature, 532, 323-328 (2016).
3) Ito K. et al., Nat. Med., 12, 446-451 (2006).
4) Tesio M. et al., Blood, 117, 419-428 (2011).

著者関連情報
© 2016 The Pharmaceutical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top