慢性疼痛の発症率や鎮痛薬の効果に性差が存在することは,疫学や生物学的な研究から明らかになっているが,痛みの性差を生じる生物学的な機構は十分に解明されていない.本稿では,Sorgeらによる異痛症(慢性疼痛で認められる症状の1つで,本来は痛くない刺激を痛みと感じる症状)の病態生理を仲介する免疫細胞の性差に関する研究について紹介する.
なお、本稿は下記の文献に基づいて、その研究成果を紹介するものである。
1) Vacca V. et al., Pain, 155, 388-402 (2014).
2) Sorge R. E. et al., Nat. Neurosci., 18, 1081-1083 (2015).
3) Tsuda M. et al., Front. Cell. Neurosci., 7, 191 (2013).
4) Zhang M. A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 109, 9505-9510 (2012).