ファルマシア
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超分子カプセルで遷移状態の構造をデザインする
兵頭 功
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2016 年 52 巻 3 号 p. 252

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抄録

酵素は,特定の分子をポケット内に取り込み,非共有結合を巧妙に駆使することで複数考えられる高エネルギー遷移状態の1つを選択的に安定化する.その結果,フラスコ内では実現し難いような分子変換を非常に高い精度で達成している.超分子カプセルは酵素類似の疎水性反応場を提供し,その特徴を利用した選択性および特異性の高い触媒反応の開発が活発に行われている.今回Raymondらは,超分子カプセル1を用いたaza-Prins環化反応において,イミニウムイオン中間体の熱力学的に不安定な遷移状態をカプセル内で安定化し,バルク溶液中の反応では得られない生成物を選択的に得ることに成功したので,以下に紹介する.
なお、本稿は下記の文献に基づいて、その研究成果を紹介するものである。
1) Christianson D. W., Chem. Rev., 106, 3412-3442 (2006).
2) Avram L. et al., Chem. Commun., 47, 5368-5375 (2011).
3) Kaphan D. M. et al., J. Am. Chem. Soc., 137, 9202-9205 (2015).

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© 2016 The Pharmaceutical Society of Japan
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