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T細胞疲弊の誘導は自己免疫疾患の新たな治療標的となるか?
渡辺 政志
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2016 年 52 巻 3 号 p. 256

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抄録

慢性感染症やがんにおいてT細胞受容体を介する抗原特異的シグナルの持続および共刺激・共抑制シグナル(CD28やPD-1などT細胞受容体以外のアクセサリー分子からの刺激または抑制シグナル)のアンバランスは,T細胞疲弊と呼ばれるT細胞の機能不全状態を引き起こす.近年,新しい抗がん療法として,がん微小環境において誘導されるT細胞疲弊の阻害を標的とした免疫チェックポイント阻害療法が大きな注目を集めている.同様の観点から感染症や自己免疫疾患に対してもT細胞疲弊が治療標的と成り得るか興味深い点であろう.実際にT細胞疲弊は,ウイルス感染の持続を招き感染症の予後不良に関連することが知られている.一方,T細胞疲弊が自己免疫疾患の予後に影響するかに関する知見は乏しい.本稿では,T細胞疲弊が自己免疫疾患および炎症性疾患の予後と関連することを示したMcKinneyらの報告を紹介する.
なお、本稿は下記の文献に基づいて、その研究成果を紹介するものである。
1) Wherry E. J., Kurachi M. J., Nat. Rev. Immunol., 15, 486-499 (2015).
2) Sharma P., Allison J. P., Science, 348, 56-61 (2015).
3) McKinney E. F. et al., Nature, 523, 612-616 (2015).

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© 2016 The Pharmaceutical Society of Japan
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