ファルマシア
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皮質線条体経路の活性化は神経障害性疼痛を軽減させる
長野 雄介
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2016 年 52 巻 3 号 p. 257

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抄録

痛みは侵害刺激の局在と強度の認知に関わる感覚的側面と,不安・恐怖・嫌悪などの不快情動生起に関わる情動的側面を有している.特に,痛みが長時間持続する慢性疼痛下においては,痛みによって引き起こされる不快情動は患者のQOLを著しく低下させるのみならず,精神疾患や情動障害の引き金と成り得るため,痛みの感覚的側面と情動的側面の両方を考慮した疼痛治療が重要である.しかしながら,痛みの感覚的側面と情動的側面の調節を決定する神経回路に関して,いまだに不明な点が多く残されており,引き続き精力的な研究が求められている.本稿では,Leeらによって報告された,痛みの慢性化における皮質線条体系の役割について紹介する.
なお、本稿は下記の文献に基づいて、その研究成果を紹介するものである。
1) Lee M. et al., J. Neurosci., 35, 5247-5259 (2015).
2) Apkarian A. V. et al., Eur. J. Pain, 9, 463-484 (2005).
3) Navratilova E., Porreca F., Nat. Neurosci., 17, 1304-1312 (2014).

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© 2016 The Pharmaceutical Society of Japan
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