ファルマシア
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アトロプ異性化制御によるキナーゼ阻害薬の標的選択性向上
橋本 善光
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2016 年 52 巻 5 号 p. 435

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抄録

ビアリール類は芳香環同士が単結合で連結した化合物群であり,医薬品や生物活性物質に散見される.ビアリールが医薬品の部分構造として頻用される一因として,構造の柔軟性が挙げられる.すなわち,芳香環を連結する単結合が回転可能であるため,自在に立体配座を変化させ様々なタンパク質に結合,生物活性を発現し得る.しかし,このような柔軟性は標的選択性を低下させ,副作用の原因ともなる.一方,芳香環をつなぐ結合の隣接位に置換基を導入し,その回転を阻害すると軸不斉に由来する異性体,すなわちアトロプ異性体を生じる.このアトロプ異性体の片方のみを用いれば,標的選択性の向上,副作用の低減につながると期待される. 今回,Smithらのグループは,ビアリールのアトロプ異性化を制御し,キナーゼ阻害薬の標的選択性を向上させることに成功したため,本稿にて紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Zask A. et al., Chirality, 25, 265-274 (2013).
2) Smith D. E. et al., Angew. Chem. Int. Ed.Engl., 54, 11754-11759 (2015).
3) Maddox S. M. et al., Org. Lett., 17, 1042-1045 (2015).

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© 2016 The Pharmaceutical Society of Japan
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