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血中コレステロールレベルを抑制するmicroRNAの発見
岸 貴之
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キーワード: GWAS, 脂質代謝, microRNA
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2016 年 52 巻 8 号 p. 796

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抄録

脂質の代謝異常は,メタボリックシンドロームや冠動脈疾患(CAD)などの心代謝系疾患と関連することが知られている.これらの疾患にはスタチン系などの治療薬が適応され治療効果を上げているが,いまだ死亡原因の上位であり新たな治療標的の開発が求められている.最近,ヒトゲノムの一塩基多型(SNPs)解析が進み,疾患に関与するSNPsが多数同定されている.ゲノムワイド関連解析(GWAS)はゲノム上に多数存在するSNPsを指標に,その近傍に存在する疾患関連遺伝子を網羅的に探索する手法である.これまでGWASにより疾患との関連が報告された遺伝子は多くがタンパク質をコードしており,タンパク質に翻訳されずRNAのままで機能するnon-coding RNAについての報告は少ない.特定のmRNAを分解・翻訳阻害することにより機能する microRNA(miRNA)はnon-coding RNAの一種である.一部のmiRNAは脂質や糖の代謝に関与することが示されていたものの,血中の脂質代謝や心代謝系疾患との関与はいまだ不明な部分が多い.今回,WagschalらはGWASデータから新たな脂質代謝関連miRNAを見いだし,生体内での機能を明らかにした.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Rottiers V. et al., Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 13, 239-250 (2012).
2) Najafi-Shoushtari S. H. et al., Science, 328, 1566-1569 (2010).
3) Wagschal A. et al., Nature Medicine, 21, 1290-1297 (2015).

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© 2016 The Pharmaceutical Society of Japan
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