ファルマシア
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プロテアソームの翻訳後修飾は有望な創薬標的となるか
平本 正樹
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2016 年 52 巻 9 号 p. 882

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抄録

ユビキチン・プロテアソームシステムは,タンパク質を迅速に分解・除去するシステムとして,細胞周期,シグナル伝達など,細胞内の重要なイベントに関わる.このシステムの破綻による不要タンパク質の蓄積が神経変性疾患につながる一方,がん細胞の増殖が当該システムの亢進によって維持されているケースも多い.分解されるタンパク質のユビキチン修飾については,その制御機構が詳細に解明される一方で,プロテアソームについては従来,受動的にタンパク質分解を担う安定的な構造物として考えられていた.近年,プロテアソーム自体の活性制御についても注目され始め,発現量,細胞内局在,翻訳後修飾に変化が生じることが判明し,リン酸化修飾も数多く報告されているものの,その生理的意義は不明であった.今回Guoらは,26Sプロテアソームの構成サブユニットRpt3の25番目のトレオニン(Thr25)におけるリン酸化修飾と,プロテアソーム活性制御および腫瘍形成との関連を報告した.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Guo X. et al., Nat. Cell. Biol., 18, 202-212 (2016).
2) Turner N. C. et al., N. Engl. J. Med., 373, 209-219 (2015).
3) Lokireddy S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 112, E7176-E7185 (2015).
4) Myeku N. et al., Nat. Med., 22, 46-53 (2016).

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© 2016 The Pharmaceutical Society of Japan
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