ファルマシア
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血中でアルブミンに共有結合するドラッグデリバリーシステムの有用性
鏑木 洋介
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2017 年 53 巻 11 号 p. 1112

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抄録

薬剤による副作用を低減し薬効を最大化するために,狙った組織・細胞に薬剤を送達するドラッグデリバリーシステム(DDS)研究が活発に行われている.多くのDDSは特異的な細胞表面マーカーを認識し,細胞内に取り込まれた後に薬剤が放出されるように設計されているが,最近,Renouxらはそのような細胞表面マーカーの発現に依存せず,EPR効果(腫瘍血管の透過性亢進等により腫瘍組織に高分子薬剤が集積する効果)に基づき腫瘍微小環境を標的とするDDSにより,マウスモデルにおいて顕著な薬効増強効果を示すことを報告したので紹介したい.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Renoux B. et al., Chem. Sci., 8, 3427–3433(2017).
2) Legigan T. et al., Eur. J. Med. Chem., 67, 75-80(2013).
3) Legigan T. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 51, 11606-11610(2012).

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© 2017 The Pharmaceutical Society of Japan
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