ファルマシア
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HEATリピートタンパク質によるクロマチンループの形成メカニズム
原 幸大
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2018 年 54 巻 10 号 p. 983

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抄録

HEATリピートは真核生物の4つの異なるタンパク質(Huntingtin,EF3,PP2A A subunit,TOR1)で見いだされた構造モチーフである.30〜40アミノ酸残基から成る2本の両親媒性ヘリックスが折り畳まれた構造が数十回繰り返されることで弾力性に富むソレノイド状構造を形成する.HEATリピートタンパク質はシグナル伝達や細胞内物質輸送など様々な細胞内機能に関与することが知られ,抗がん剤の開発やドラッグデリバリーシステム(DDS)への応用が期待される.
最近,染色体凝縮を担う出芽酵母由来Ycg1-Brn1コンデンシンサブコンプレックスとDNAの複合体の構造がX線結晶構造解析により決定され,HEATリピートに関する新たな知見が得られたので本稿で紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Yoshimura S. H. et al., J. Cell. Sci., 129, 3963-3970(2016).
2) Kschonsak M. et al., Cell, 171, 588-600(2017).
3) Piazza I. et al., Nature SMB, 6, 560-568(2014).

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© 2018 The Pharmaceutical Society of Japan
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