ファルマシア
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自己炎症性疾患群に対する新規治療標的としてのTNFの役割
眞田 洋平
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2018 年 54 巻 10 号 p. 985

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抄録

クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS)は,発熱や激しい炎症を繰り返す難治性の自己炎症性疾患である.その発症要因は,クリオピリン(遺伝子名:NLRP3)の機能獲得型変異による恒常的なインフラマソーム活性化に伴うIL-1βの過剰産生であると考えられている.Brydgesらは,ミスセンス変異の導入によって症状の重症度が異なる複数のNLRP3獲得型変異CAPSモデルマウスを開発し,IL-1βがCAPSの発症に深く関わることを報告した.しかし,CAPS疾患の有効な治療薬であるアナキンラ(IL-1β受容体拮抗薬)の投薬では十分な治療効果を示さない症例も報告されており,IL-1β以外の疾患原因の存在が示唆されている.
本稿では,インフラマソーム構成因子の炎症シグナルをノックアウト(KO)したマウスを組み合わせ,TNFがCAPS疾患の発症に深く関わることを示したMcGeoughらの論文を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Brydges S. D. et al., Immunity, 30, 875-887(2009).
2) McGeough M. D. et al., J. Clin. Invest., 127, 4488-4497(2017).

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© 2018 The Pharmaceutical Society of Japan
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