CRISPR-Cas9は,細菌等の原核生物の感染防御システムとして進化した獲得免疫系を利用したゲノム編集技術である.clustered regularly interspaced short palindromic repeats-CRISPR associated protein 9(CRISPR-Cas9)では,標的の塩基配列と相補的な塩基配列(約20塩基長)およびCRISPR等に由来する塩基配列を含むガイドRNA(gRNA)と,RNA依存性ヌクレアーゼであるCas9タンパク質とを使用する.他のゲノム編集技術では,標的の塩基配列に結合するタンパク質を標的ごとに設計する必要がある.一方,CRISPR-Cas9は,標的の塩基配列に相補的な塩基配列を変更すればよいため,設計に手間がかからず簡便に使用できるというメリットがある.