ファルマシア
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線条体におけるドパミンは神経回路依存的に触覚機能を調節する
西條 琢真
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2018 年 54 巻 2 号 p. 167

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抄録

パーキンソン病は進行性の神経変性疾患であり,黒質緻密部のドパミン神経の減少により生じる.黒質緻密部から入力を受けている線条体でドパミンが欠乏することにより,線条体からの投射神経の活性に異常が生じ,振戦,筋固縮,寡動等の運動機能障害が起こる.さらに,パーキンソン病患者には嗅覚や触覚,侵害受容,固有受容の変化といった感覚機能障害も見られるが,これらの感覚機能障害に至る具体的な神経回路機構は大部分が不明である.しかし,線条体は大脳皮質の運動,感覚どちらの領域からも軸索の投射を受けていることから,ドパミンの欠乏は運動機能だけでなく,感覚機能にも影響すると考えられる.本稿では,パーキンソン病モデルマウスを用いたドパミンの神経回路依存的な触覚調節機能に関するKetzefらの研究を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Dauer W., Przedborski S., Neuron, 39, 889-909(2003).
2) Conte A. et al., Nat. Rev. Neurol.,9, 687-697(2013).
3) Ketzef M. et al., Neuron, 94, 855-865(2017).

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© 2018 The Pharmaceutical Society of Japan
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