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1型糖尿病におけるSGLT2阻害薬の有効性と安全性は?
角山 香織
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2018 年 54 巻 2 号 p. 170

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抄録

SGLT2阻害薬(SGLT2i)は,腎尿細管における尿糖の再吸収を阻害し,グルコースの尿中排泄を増加させることで血糖降下作用を示す糖尿病治療薬である.発売後早期に,尿路・性器感染症や重症低血糖,脱水,脳梗塞などの重篤な副作用が報告され,日本糖尿病学会から「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」が公表されたこともあり,慎重に使用されている.
一方,2型糖尿病患者を対象としたエンパグリフロジンを用いた大規模臨床試験の結果が発表され,心血管系イベント抑制効果や腎保護作用が示されるなど,2型糖尿病におけるSGLT2iの多面的効果に関するエビデンスが集積しつつある.これらのエビデンスから,1型糖尿病に対するSGLT2iの有用性に期待が寄せられており,実際,1型糖尿病への適応拡大に向けた国際共同臨床試験も実施されている.そこで本稿では,最近報告された1型糖尿病を対象としたSGLT2iの有効性と安全性について系統的レビューとメタ解析の結果を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Zinman B. et al., N. Engl. J. Med., 373, 2117-2128(2015).
2) Wanner C. et al., N. Engl. J. Med., 375, 323-334(2016).
3) Chen J. et al., Sci. Rep., online 9 Mar. 2017, 7:44128, doi:10.1038/srep44128.

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© 2018 The Pharmaceutical Society of Japan
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