ファルマシア
Online ISSN : 2189-7026
Print ISSN : 0014-8601
ISSN-L : 0014-8601
トピックス
アルケンとブロモアルカンのオートタンデム型Pd触媒的炭素環化反応
土井 良平
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 54 巻 5 号 p. 456

詳細
抄録
遷移金属触媒を用いる有機ハロゲン化物とアルケンとのカップリングは溝呂木-Heck反応と呼ばれる.この反応では通常,炭素求電子剤としてハロゲン化アルケニル,あるいはハロゲン化アリールが用いられる.一方で,ハロゲン化アルキルを用いる反応は一般的な合成手段として確立されているとは言い難い.その主な要因として,遷移金属に対するハロゲン化アルキルの酸化的付加が進行しにくいこと,および生じるアルキルメタル種がβ水素脱離により分解しやすいことが挙げられる.本稿ではAlexanianらによるPd触媒を用いるハロゲン化アルキルの分子内溝呂木-Heck反応の開発と,その反応機構研究を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Venning A. R. O. et al., J. Am. Chem. Soc., 139, 11595-11600(2017).
2) Firmansjah L., Fu G. C., J. Am. Chem. Soc., 129, 11340-11341(2007).
著者関連情報
© 2018 The Pharmaceutical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top