ファルマシア
Online ISSN : 2189-7026
Print ISSN : 0014-8601
ISSN-L : 0014-8601
トピックス
PD-1/PD-L1が腫瘍免疫に及ぼす新たな役割
横江 俊一
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 54 巻 5 号 p. 461

詳細
抄録

Programmed cell death protein 1(PD-1)は,1992年に本庶博士らにより単離・同定された遺伝子であり,T細胞やB細胞,NK細胞などに発現して,T細胞の免疫応答を負に制御している.PD-1のリガンドであるPD-L1が活性化したT細胞上のPD-1に結合すると,T細胞の活性化が抑制される.がん細胞がPD-L1を発現する場合,免疫細胞による攻撃から逃れることで,がん細胞の異常な増殖・がんの進行につながる.そのため,PD-1とPD-L1の結合を阻害する抗PD-1抗体薬ががんの治療に有用であると考えられている.一方,感染などに対する免疫を担うマクロファージにもPD-1が高発現していることが知られている.本稿では,がん微小環境におけるマクロファージのPD-1発現およびPD-1/PD-L1経路が,抗腫瘍免疫に及ぼす影響について検討したGordonらの研究を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Ishida Y. et al., EMBO J., 11, 3887-3895(1992).
2) Bally A. P. et al., J. Immunol., 194, 4545-4554(2015).
3) Gordon S. R. et al., Nature, 545, 495-499(2017).

著者関連情報
© 2018 The Pharmaceutical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top