骨粗しょう症は,低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし,骨の脆弱性が増大することで骨折のリスクが高まる疾患である.骨は破骨細胞が行う骨吸収と,骨芽細胞が行う骨形成の絶妙なバランスで動的な恒常性を維持しているが,これが破綻することで様々な骨疾患を惹起する.超高齢社会である我が国では,骨粗しょう症の患者数が1,300万人ほどと推定されており,社会的な問題となっている.今回Kimらは,ザルザニンC(ZC)が骨芽細胞の分化に影響を与え,骨形成促進に寄与することで骨粗しょう症の治療薬となる可能性を見いだしたので紹介したい.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Olsen B. R. et al., Annu. Rev. Cell Dev. Biol., 16, 191-220(2000).
2) Kim K. M., Jang W. G., Bioorg. Med. Chem. Lett., 27, 4789-4793(2017).
3) Choi S. Z. et al., Arch. Pharm. Res., 29, 203-208(2006).