2018 年 54 巻 7 号 p. 653-657
亜鉛は,生命活動の維持に必要な微量元素の1つであり,その欠乏症は多岐に渡る.生体内における亜鉛の恒常性は,亜鉛トランスポーター(亜鉛輸送体)によって厳密に制御されているが,その仕組みや生理的な役割については良くわかっていない.近年,遺伝子改変マウスやゲノムワイドな解析によって,亜鉛トランスポーターの生理機能が徐々に明らかにされてきており,さらに,亜鉛トランスポーターの機能破綻に起因する疾患もいくつか報告されている.本稿では,亜鉛トランスポーターが関わる疾患との関係性について概説する.