ファルマシア
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オピオイド医薬品製造原料の生物生産を高効率化する酵素の発見
吉本 尚子
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2019 年 55 巻 1 号 p. 67

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抄録

ケシが生合成するモルヒナン型アルカロイドのうち,モルヒネ(1)はがんや外傷による疼痛の緩和に用いられる天然オピオイドとして,テバイン(2)は半合成オピオイドであるオキシコドンやオピオイド受容体拮抗薬であるナロキソン等の製造原料として,極めて重要な化合物である.気象災害や病害によるケシ収穫量減少に伴う医薬品の供給不足を避けるため,遺伝子組換え微生物を用いて,モルヒネやテバインを安定で効率的に生産する技術の開発が期待されている.今回,モルヒネ生合成において非酵素的に進むと考えられていたテバイン合成反応を触媒する酵素が同定され,効率的なテバインの異種生物生産が可能になったので紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Chen X. et al., Nat. Chem. Biol., 14, 738-743(2018).
2) Galanie S. et al., Science, 349, 1095-1100(2015).
3) Nakagawa A. et al., Nat. Commun., online 5 Feb. 2016, doi: 10.1038/ncomms10390.

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© 2019 The Pharmaceutical Society of Japan
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