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マスト細胞の顆粒による情報伝達と免疫応答調節機構
長田 夕佳
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2019 年 55 巻 8 号 p. 793

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抄録

マスト細胞はこれまでに神経細胞,間葉系細胞,免疫細胞をはじめとする様々な細胞との相互作用が明らかになっている.マスト細胞はアレルゲンの侵入に対して炎症性メディエーターを放出し,局所炎症反応を引き起こすとともに他の細胞群と協調してアレルギー免疫応答を調節している.これまでマスト細胞の炎症性メディエーターによる即時型局所炎症反応や獲得免疫応答の賦活化が示唆されてきた.しかし,マスト細胞の顆粒(mast cell granule: MCG)による情報伝達機構や免疫応答調節機構については,十分に解明されていなかった.
本稿では,マスト細胞から放出されたMCGが樹状細胞の抗原提示機能を亢進させ,さらに免疫応答を誘導していることを明らかにした新たな知見について紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Abraham S. N., St. John A., Nat. Rev. Immunol., 10, 440-452(2010).
2) Dudeck A. et al., Immunity., 34, 973-984(2007).
3) Dudeck J. et al., J. Allergy Clin. Immunol., in press.
4) Kunder C. A. et al., J. Exp. Med., 206, 2455-2467(2009).

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© 2019 The Pharmaceutical Society of Japan
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