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µ-オピオイド受容体選択的蛍光プローブを用いた1分子イメージング
山下 泰信
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2020 年 56 巻 10 号 p. 955

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抄録

µ-オピオイド受容体(µ-OR)は,Gタンパク質共役型受容体の1つであり,主に中枢および末梢神経系に発現し痛みの知覚と伝達の調整に関与する.これまでに本受容体は,アゴニストとの共結晶構造が報告されており,アゴニストの理論的な分子設計が可能になったものの,生理的な条件下における動的な挙動に関する理解は不十分であった.
一方,1分子イメージングは,高い分解能を有する顕微鏡を用いて個々のタンパク質を生理的条件下で観察する手法であり,Sungkawornらは2017年に1分子イメージングにより,Gタンパク質共役型受容体が細胞膜上で相互作用していることを報告している.筆者らは,µ-ORを選択的に観測できる蛍光プローブを用いた1分子イメージングに成功したので,本稿で紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Koehl A. et al., Nature, 558, 547-552(2018).
2) Sungkaworn T. et al., Nature, 550, 543-547(2017).
3) Gentzsch C. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 59, 5958-5964(2020).

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© 2020 The Pharmaceutical Society of Japan
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