ファルマシア
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アルツハイマー病におけるTREM2と脳内各種細胞の関連について
祖父江 顕
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2020 年 56 巻 11 号 p. 1045

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抄録

脳内のマクロファージ様細胞として知られるミクログリアは,中枢神経系の環境調整を担っている細胞である.これまで,活性化されたミクログリアは神経傷害型(M1)と神経保護型(M2)などに分類されてきたが,アルツハイマー病(Alzheimer’s disease: AD)などの病態におけるミクログリアはそれだけでは説明がつかず,近年では疾患に共通した活性化ミクログリア(disease associated microglia: DAM)という概念が主流になってきた.DAMは,神経疾患の病態進行に深く関与することが報告されているが,このDAMがAD脳全体へ及ぼす影響については,不明な点が多いのが現状である.
今回は,このDAMの発現に関与するtriggering receptor expressed on myeloid cells 2(TREM2)の機能変化と,ミクログリアをはじめとする中枢神経系の細胞への影響が明らかとなったため紹介したい.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Zhou Y. et al., Nat Med., 26, 131-142(2020).
2) Krasemann S. et al., Immunity, 47, 566-581(2017).
3) Keren-Shaul H. et al., Cell, 169, 1276-1290. e17(2017).
4) Guerreiro R. et al., N. Engl. J. Med., 368, 117-127(2013).
5) Jonsson T. et al., N. Engl. J. Med., 368, 107-116(2013).

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