筆者らは、病院薬剤師または薬局薬剤師として5年以上の実務経験を有する実務家教員である。これまで実務家教員の臨床体験に基づく教育と研究の実践に努め、「臨床と基礎の接点を起点とした融合型トランスレーション研究」を展開してきた。今回は「アンメットな腎疾患の病態制御を指向した診断・治療戦略への挑戦」として、腎臓病の課題に対する私達の取り組みについて紹介する。すなわち、1.腎臓病に関わる酸化ストレスについて、質量分析装置を用いた評価方法、2.腎臓病の病態進展因子としての尿毒症物質の関与とその分子機構、3.腎臓病を制御するための抗酸化・炎症制御薬の開発について紹介する。