ファルマシア
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チオ糖の還元的活性化によるオリゴ糖の立体補完的合成
北村 圭
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2020 年 56 巻 3 号 p. 253

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抄録

2-デオキシ糖は多くの生理活性物質の部分構造に含まれるが,そのグリコシド部位の構築における立体制御は合成上,必ずしも容易ではない.通常,グリコシル化はアノマー位に脱離基を持つ糖供与体をLewis酸などで活性化し,アルコールを求核剤として反応させる.この際,2位の置換基を配向基として用いる場合も多く,2-デオキシ糖のグリコシル化では配位性官能基の利用や配座の固定化などの工夫を必要とする.これに対し,Herzonらはチオ糖の還元的活性化を利用した「アノマー位の極性転換」を活用し,オリゴ糖の立体補完的合成に成功したので,本稿にて紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Hoang K. M. et al., J. Am. Chem. Soc., 141, 8098-8103(2019).
2) Hill R. R. et al., J. Org. Chem., 81, 10707-10714(2016).
3) Baryal K. N. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 52, 8012-8016(2013).
4) Kyasa S. et al., J. Org. Chem., 80, 12100-12114(2015).

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© 2020 The Pharmaceutical Society of Japan
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