ファルマシア
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De novo protein designによるタンパク質機能のONとOFFの制御
林 一広
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2020 年 56 巻 3 号 p. 254

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抄録

De novo protein designは計算化学を用いて自然界に存在しないタンパク質を新たに設計する手法であり,生物進化のみでは辿り着けない人智を超えたタンパク質の獲得に繋がる可能性が期待されている.立体配座の自由エネルギー状態を低く保つことで安定構造を持つ新規タンパク質の創製が達成されており,本分野は目覚しい進歩を遂げている.一方,立体配座の変換を伴うタンパク質の機能制御を志向した設計は,標的とする2つ以上の立体配座の自由エネルギー差が十分小さく,かつその他の配座が十分不安定であることが要求されるため,難易度が高い.今回著者らは,同じ結合サイトにおける分子内/分子間での競合を利用することでタンパク質機能のONとOFFを制御するシステムを開発したので紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Huang P. -S. et al., Nature, 537, 320-327(2016).
2) Langan R. A. et al., Nature, 572, 205-210(2019).

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© 2020 The Pharmaceutical Society of Japan
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