ファルマシア
Online ISSN : 2189-7026
Print ISSN : 0014-8601
ISSN-L : 0014-8601
トピックス
C(sp3)-H活性化による非天然トリプトファンの合成とペプチド合成への応用
勝山 彬
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 56 巻 6 号 p. 562

詳細
抄録

β-分岐非天然アミノ酸は,β位の置換基の立体的影響により,ペプチドの配座制限が可能である上,構造の多様性に富むことから,ペプチドリガンドの設計において有用な構成要素である.その合成法の1つとして,配向基を利用したC(sp3)-H結合活性化反応による合成法が複数のグループにより研究されてきた.しかし,配向基の除去に過酷な反応条件を要するため,ペプチド合成への適用は制限されていた.今回Geyerらは,8-アミノキノリル(8-aminoquinolyl: 8AQ)基を配向基として用いたC(sp3)-H結合活性化によるβ-アリールトリプトファンの立体選択的合成,ならびに8AQから脱離基への変換を鍵とするペプチドとの直接的連結法を開発したので紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Hruby V. J. et al., Biochem. J., 268, 249-262(1990).
2) Reddy B. V. S. et al., Org. Lett., 8, 3391-3394(2006).
3) Nicke L. et al., Chem. Sci., 10, 8634-8641(2019).

著者関連情報
© 2020 The Pharmaceutical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top