ファルマシア
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線虫腸内に住む細菌がグラム陰性菌感染症克服の切り札に!?
小林 啓介
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2020 年 56 巻 7 号 p. 680

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抄録

近年,多剤耐性グラム陰性菌の感染制御が大きな課題となっており,新規抗菌薬の開発が求められている.抗菌薬開発の歴史を振り返ると,土壌由来の微生物,特に放線菌や糸状菌が生産する二次代謝産物が抗菌物質の重要な供給源となってきた.一方,容易にアクセスできる環境から得られた微生物からは有用な化合物は取り尽くされたと考えられており,新たな探索源の開拓が課題となっている.
本稿では,「腸内細菌叢を構成する微生物は,宿主に無毒で,大腸菌(グラム陰性菌)などとの生存競争に役立つ物質を産生しているであろう」という考えのもと,線虫の腸内細菌叢より分離した微生物より新規抗グラム陰性菌物質が見いだされた例を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Tacconelli E. et al., Lancet Infect. Dis., 18, 318-327(2018).
2) Imai Y. et al., Nature, 576, 459-464(2019).

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© 2020 The Pharmaceutical Society of Japan
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