2021 年 57 巻 12 号 p. 1139
近年,新しい抗菌薬の開発が停滞しており,世界的脅威となっている薬剤耐性菌の拡大・増加を防止するためには,耐性菌を広げないための対策を実施する感染制御チーム(Infection Control Team: ICT)と耐性菌を作らないために抗菌薬の使用を適切に管理するための支援を実施する抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial Stewardship Team: AST)が連携して活動することが大切である.2018年度には抗菌薬適正使用支援加算が新設され,ASTに求められる責務が大きくなっている.効果的なAST活動の実施には,診断支援(Diagnostic Stewardship: DS)の実践が一助となると期待されている.DSとは,「治療方針を決定する微生物学的診断の適切使用を改善する協調的な指導と介入」と定義され,DSにより不適切な抗菌薬使用の減少が期待されている.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) World Health Organization,“Global Antimicrobial Resistance Surveillance System-Manual for Early Implementation”, World Health Organization, Switzerland, 2016, pp. 12.
2) Nicolle L. E. et al., Clin. Infect. Dis., 68, 1611-1615(2019).
3) Lee ALH. et al., J. Hosp. Infect., 108, 81-89(2021).