ファルマシア
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慢性疾患治療薬の子どもでの使用を指向した小児用BCSクラスの提案
有安 葵
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2021 年 57 巻 3 号 p. 233

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抄録

小児用医薬品開発は,USおよびEUでは法的に義務化されている.日本でも義務化はされていないものの推進され,各社それぞれ開発を進めている.しかし,小児用医薬品開発には製剤開発および臨床試験両方の観点でハードルが存在し,製薬企業にとって意義は高いものの開発は容易ではない.
製剤開発,特に経口製剤の処方開発においては薬物の吸収性の最大化が重要であり,それには薬物の消化管内での溶解性および膜透過性が大きく寄与する.この2つの要素で薬物を分類する概念を体系化したのがbiopharmaceutics classification system(BCS)であり,1995年にAmidonらによって提唱された.BCSに応じた製剤開発は現在における経口製剤の処方開発の指針となっている.
一方,小児の消化管内環境は,その容量の違いなど成人とは大きく異なり,同一薬物の溶解性および膜透過性も小児と成人で異なると考えらえる.その考察に基づき,近年小児に対応したBCS,すなわちpediatric BCS(pBCS)の研究が進んでいる.特に小児の慢性疾患の治療には,院内製剤が用いられることが多く,薬物動態などのデータが不足している.そこで,慢性疾患治療薬のpBCSを検討および提案した報告を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Amidon G. L. et al., Pharm. Res., 12, 413-420(1995).
2) Bhatt-Mehta V. et al., EurJ. Pharm. Sci., 152, 105437(2020).
3) Shawahna R., AAPS J., 18, 728-736(2016).
4) Maharaj A. R. et al., Pharm. Res., 33, 52-71(2016).

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© 2021 The Pharmaceutical Society of Japan
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