ファルマシア
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神経変性疾患の新規治療:mTOR阻害によるオートファジー活性化
大島 睦
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2021 年 57 巻 5 号 p. 415

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抄録

タウは,主に中枢神経系の細胞において微小管に結合し,その安定化に寄与するタンパク質である.タウは,過剰なリン酸化や重合が生じると異常タウとして細胞内に蓄積し,細胞の機能を障害するが,これに関連する疾患をタウオパチーと呼ぶ.タウオパチーには,進行性核上性麻痺,前頭側頭型認知症,アルツハイマー病などの神経変性疾患が含まれる.現在,これらの疾患に有効な根治療法は存在せず,この克服は喫緊の課題である.近年,神経変性が生じる前に,細胞内から異常タウを除去する新規治療法に焦点が当たっている.本稿では,異常タウの細胞内クリアランスにおいてタンパク質分解系の1つであるオートファジーに着目し,治療に有効な化合物のスクリーニングを試みたSilvaらの論文を紹介したい.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Silva M. C. et al., Nat. Commun., 11, 3258(2020).
2) Silva M. C. et al., Stem. Cell Rep., 7, 325-340(2016).
3) Bain H. D. C. et al., Neuropathol. Appl. Neurobiol., 45, 244-261(2019).

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© 2021 The Pharmaceutical Society of Japan
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