ファルマシア
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腸内細菌を介した腸管バリアの破壊は脳の老化に影響する
秋山 雅博
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2022 年 58 巻 12 号 p. 1160

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抄録

古くから脳と腸管の間には双方向のコミュニケーションシステムが存在することはよく知られている(脳腸相関).一方,近年の研究により腸管の100兆個を超える共生微生物(腸内細菌)の集合体である腸内細菌叢は,自閉症,統合失調症やパーキンソン病などの精神疾患に関与することが明らかにされている.また,加齢に伴い腸内細菌叢の組成が大きく変化することも知られ,腸内細菌叢の組成が,発達期および成人期の脳機能に関与することも報告されている.そのため,脳腸相関における腸内細菌叢の重要性が強く認識されるようになり,腸内細菌叢―腸管―脳を軸とした新たな脳腸相関の研究が注目されている.本稿では脳の老化に着目して,腸内細菌叢―腸管―脳の関わりと,そのメカニズムの一端についての研究成果を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Cryan J. F. et al., Physiol. Rev., 99, 1877-2013(2019).
2) Mossad O. et al., Nat. Neurosci., 25, 295-305(2022).

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© 2022 The Pharmaceutical Society of Japan
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