ファルマシア
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恐怖記憶固定化の性差:扁桃体中心核におけるタキキニン経路の重要性
持田(齋藤) 淳美
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キーワード: 性差, 恐怖記憶, Tac2, Nk3, CeA
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2022 年 58 巻 2 号 p. 173

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抄録

恐怖記憶は以前に経験した嫌悪的な出来事と関連しており,危険な出来事に遭遇した時に恐怖反応を呼び起こし,自身に危害が加わることを防ぐ役割を担っている.この恐怖記憶の処理については,男女間での顕著な違いを示すデータはあるものの,女性を対象とした脳科学的研究が未だ十分に行われていないため,その分子メカニズムはほとんど解明されていない.一方,Anderoらはタキキニン2(Tac2)シグナル伝達経路が,恐怖記憶の調節において重要な役割を担っていることを報告している.Tac2遺伝子にコードされる神経ペプチドであるニューロキニンB(NkB)は,ニューロキニン3(Nk3)受容体に結合して恐怖記憶を調節する.本稿では,雄性および雌性マウスの恐怖記憶固定化におけるTac2シグナル伝達経路の役割について明らかにしたFloridoらの論文を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Andero R. et al., Neuron, 83, 444-454(2014).
2) Florido A. et al., Nat. Commun., 12, 2496(2021).
3) Bangasser D. A., Valentino R. J., Front. Neuroendocrinol., 35, 303-319(2014).

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© 2022 The Pharmaceutical Society of Japan
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