ファルマシア
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極性転換によるヒスチジン残基選択的なタンパク質蛍光標識化の新たな手法
松本 卓也
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2022 年 58 巻 4 号 p. 356

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抄録

生命にとって必要な生化学反応を担うタンパク質の動態や機能を解析するため,タンパク質を蛍光標識化剤などで修飾して可視化する手法の開発は重要である.タンパク質の蛍光標識化には主にリジン残基やシステイン残基などのアミノ酸残基の修飾が利用されている.一方で,ヒスチジン(His)残基を標的としたタンパク質の化学修飾法は数例しか報告されておらず,数時間の反応時間や,タンパク質変性の恐れがあるpH8.5程度の塩基性条件を必要としていた.これに対し最近,佐藤らによって,一重項酸素によりHis残基を求電子性官能基へと変換する極性転換を応用した全く新しい戦略で,生理的条件でHis残基選択的にタンパク質を修飾する方法が開発されたので本稿で紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Jia S. et al., J. Am. Chem. Soc., 141, 7294-7301(2019).
2) Chen X. et al., J. Am. Chem. Soc., 141, 18230-18237(2019).
3) Nakane K. et al., J. Am. Chem. Soc., 143, 7726-7731(2021).
4) Sato S. et al., Chem. Commun., 54, 5871-5874(2018).

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© 2022 The Pharmaceutical Society of Japan
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