ファルマシア
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トピックス
食中毒予防を目的とする有毒キノコ・カキシメジの分類学的検討
深谷 匡
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2022 年 58 巻 7 号 p. 728

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抄録

Tricholoma ustaleは,欧州や北米に分布するキシメジ科の外生菌根菌で,日本では1925年に川村らによってカキシメジに該当するとされた.ツキヨタケやクサウラベニタケと並び中毒例の多いキノコの1つとして知られ,摂取後30分~2時間で頭痛や消化器症状が現れる.厚生労働省の統計によると,カキシメジによる中毒事故は毎年1~3件ほど発生しているが,死亡事故の報告はない.中毒の原因となる成分としては,ウスタル酸(ustalic acid: UA)が知られ,Na/K-ATPaseを阻害することで上記の症状を引き起こすと推定されている.以前よりカキシメジは,形態学的に類似する幾つかの種により構成される複合種の可能性が指摘されていた.一方,無毒と推定される集団を食利用している地域も知られている.カキシメジといっても集団ごとのUAの含量の比較検討は行われておらず,“食と毒の境界”の解明が望まれてきた.本稿では,上記の背景のもと,青木らの分類学的および形態学的検討によるカキシメジの再分類に関する研究を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) 厚生労働省 食中毒統計資料. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html
2) Sano Y. et al., Chem. Commun., 13, 1384–1385(2002).
3) Aoki W. et al., Mycoscience, 62, 307–321(2021).

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© 2022 The Pharmaceutical Society of Japan
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