ファルマシア
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エノールトリフラートのアミノ化によるカルボニル1,2-位置変換法の開発
安井 基博
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2022 年 58 巻 9 号 p. 892

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抄録

カルボニル基は化合物の物性や生物活性に影響を与えるだけでなく,有機合成における反応部位としても広く利用されることから,カルボニル基を構築する際にはその位置制御が重要な課題である.なかでも,カルボニル基の位置を隣の炭素へ移動させる1,2-位置変換法は,より多様な出発原料から合成戦略を立案できるため魅力的な手法である.しかし,これまでに報告された方法では酸化,還元,保護基の着脱を逐次的に行う必要があり,工程数に課題があった. 今回DongらはエノールトリフラートをCatellani型アミノ化反応に適用することで,ケトンから2工程でカルボニル基の1,2-位置変換を可能とする手法を報告したので,本稿で紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Kane V. et al., Tetrahedron, 39, 345–394(1983).
2) Wu Z. et al., Science, 374, 734–740(2021).
3) Dong Z. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 54, 12664–12668(2015).
4) Wang J. et al., Nat. Chem., 11, 1106–1112(2019).

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© 2022 The Pharmaceutical Society of Japan
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