ファルマシア
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肺線維症の線維化促進機構におけるIL-10シグナル伝達
遠藤 京子
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2022 年 58 巻 9 号 p. 897

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抄録

特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis: IPF)は,進行性の肺の瘢痕化を特徴とする慢性疾患である.その生存期間の中央値は3年であり,効果的な治療法はなく,その病因についても未だ不明な点が多い.線維芽細胞は,線維症の病因となるコラーゲンなどのマトリックスタンパク質の沈着に重要な役割を果たしており,線維芽細胞の異常な活性化が炎症や線維化の起点となり,IPFの病態形成に関与している.近年,肺線維症の新しい治療標的細胞として線維化促進効果を有するマクロファージが注目されている.本稿では,肺線維症における単球由来マクロファージ(monocyte-derived macrophage: moMac)による線維化促進メカニズムについて紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Bhattacharyya A. et al., Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol., 322, L495-L502(2022).
2) Martinet Y. et al., N. Engl. J. Med., 317, 202-209(1987).
3) Aran D. et al., Nat. Immunol., 20, 163-172(2019).

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© 2022 The Pharmaceutical Society of Japan
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