抄録
がん免疫療法の代表的な薬剤である抗PD-1抗体は,「腫瘍のHLAクラスI分子上に提示されるがん抗原をCD8+T細胞が認識し誘導される免疫応答」を増強することで治療効果を発揮すると一般的には考えられている.そのため,ミスマッチ修復異常(MMR-d)によりHLAクラスIが欠損している大腸がんでは,CD8+T細胞による抗腫瘍免疫が機能しない.その一方で,抗PD-1抗体によるがん免疫療法自体は奏功するとも近年報告されており,そのメカニズムにCD8+T細胞以外の他の免疫細胞の寄与が考えられた.本稿では,HLAクラスI欠損のMMR-d大腸がんに対する免疫療法においてγδT細胞が主翼を担うことを紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Sade-Feldman M. et al., Nat. Commun., 8, 1136(2017).
2) Middha S. et al., JCO Precis. Oncol., 3, 1-14(2019).
3) de Vries N. L. et al., Nature, 613, 743-750(2023).