2024 年 60 巻 5 号 p. 393-397
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は,運動ニューロンが変性し,筋が動かなくなる難病である.病態の進行において,神経細胞に蓄積するTDP-43が神経回路内を伝播する可能性が提唱されている.著者らは,TDP-43の伝播を検証可能なマウスモデルを確立し解析を行った.結果,TDP-43はオリゴデンドロサイト以外,神経回路内を伝播しなかったが,TDP-43が蓄積した運動ニューロンから,脊髄や筋へと,病巣の遠位への病態進行が見出された.この結果は,従来の伝播仮説と異なる病態進行機序を提起している.