ファルマシア
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日本ベンチャーの底力 その技術と発想力
第43回 (株)アデノプリベントの大腸がんリスク検診技術
瀧本 陽介渡辺 賢二
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電子付録

2024 年 60 巻 9 号 p. 879-881

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抄録

コリバクチンは腸内細菌叢を構成する一群の大腸菌株が生産する化学物質であり、動物細胞に対してDNAの二重鎖切断を引き起こす遺伝毒性物質である。著者らの疫学研究で大腸がん患者の67 %、健常者の27%がコリバクチン産生菌を保有していることが明らかとなっている。これまで著者らはコリバクチンによる大腸発がんを予防するという観点から、コリバクチンおよびその生産菌の簡便かつ迅速な検出法の開発を行ってきた。HPLC分析やPCR法などの高額機器や複雑作業を用いることのないコリバクチン生産菌の検出方法を確立するために、コリバクチンの生合成酵素を特異的に認識して蛍光を発する分子プローブを設計・合成し、コリバクチン生産菌を選択的に蛍光で高精度検出することに成功している。また、本プローブを用いたハイスループットスクリーニングシステムを既に構築している。株式会社アデノプリベントはこの検診技術を用い、大腸がんリスク検診の普及に取り組んでいる。

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© 2024 The Pharmaceutical Society of Japan
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