ファルマシア
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一重項酸素移動を利用したデュアルロック残光イメージング
栗山 佑世
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2025 年 61 巻 1 号 p. 67

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抄録

光学イメージングは,生体内での生理学的・分子的プロセスを光で可視化し,その解明や病気の診断に応用される強力なツールである.その際用いる活性化型光プローブ(activatable optical probes: AOPs)は,対応するバイオマーカーに応じて信号を発信する.しかし,複雑な生物学的環境下で単一のAOPを用いる場合,目的としない場で「偽陽性」信号を示すことがしばしば問題となる.一方で,2つの異なるバイオマーカーが共存する場合にのみ信号を発信するデュアルロックAOPを用いると,細胞内外での生物学的イベントの検出における特異性を向上させることが可能となる.本稿では,デュアルロックAOPの一例として,一重項酸素を利用した新たな光学イメージングアプローチが報告されたので紹介する.

なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

1) Wu L. et al., Nat. Rev. Chem., 5, 406-421(2021).

2) Wang X., Pu K., Chem. Soc. Rev., 52, 4549-4566(2023).

3) Wei X. et al., J. Am. Chem. Soc., 146, 17393-17403(2024).

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© 2025 The Pharmaceutical Society of Japan
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